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289時間目 [ 令和7年度税制改正大綱 ~103万円や106万円は壁?~ ]
2025年02月03日(月) テーマ:税制改正
みなさん、こんにちは。
今年の節分は2月2日でした。
節分は季節の変わり目という意味があるそうですが、
少しずつ春が近づいているのでしょうか。
さて、昨年12月20日に、
「令和7年度税制改正大綱」が決定されました。
今回の税制改正は、
「103万円の壁」をめぐり、
ニュース等でよく取り上げられていました。
ニュース等では、
103万円を『壁』と否定的に捉えて、
一般の方も批判的なコメントが多く見受けられました。
さて、みなさん、
103万円の壁って何か、
しっかりと理解できていますか?
テレビのニュースにおける説明もいくつか見ましたが、
特に初期のころは、
テレビで説明する方も、
よくわかっていないような感じを受けました。
税務上、103万円という数字はいろいろなところで登場しますが、
対象者が次の誰なのかによって、
考え方が違ってきます。
①給与所得者本人
②給与所得者の配偶者
③給与所得者の子供などの扶養親族
まず、②の配偶者について考えてみましょう。
「配偶者控除」で38万円を受けられる要件は、
配偶者の給与収入103万円以下ですが、
「配偶者特別控除」において、
配偶者の給与収入150万円までであれは、
同額の38万円の控除がうけられます。
つまり、配偶者にとって、
103万円の壁は存在していないようなものです。
次に③の扶養親族はどうでしょうか。
こちらも、「扶養控除」が適用されるためには、
扶養親族の給与収入が103万円以下であることが条件です。
103万円を超えると、
確かに扶養控除が適用されなくなるので、
『壁』と言ってもよいかもしれません。
最後に①の給与所得者本人です。
給与収入が103万円を超えると所得税が発生します。
とはいえ、
この『壁』がベルリンの壁のようになくなってしまうと、
給与収入が少額でも所得税が発生してしまいます。
給与所得者本人にとっては、
ある意味、103万円は『壁』ではなく、
『盾』となって、
給与収入が少ない方を守ってくれているといえないでしょうか。
『盾』だからこそ、
政治家の方も、
金額を引き上げ、盾を大きくして
より多くの人を守ろうとしているのだと思います。
つまり、
103万円が『壁』であるのは、
給与所得者の扶養親族だけです。
具体的な例としては、
扶養に入れているお子さんのアルバイト代において、
103万円の『壁』が存在しています。
①②③をひとまとめにして、
『壁』と否定的に呼んでしまった代償が、
社会保険の『106万円の壁』でしょうか。
「106万円」も同じように『壁』と呼ばれ、
「103万円の壁」と同列で否定的に取り扱われたため、
撤廃される見込みとなっています。
確かに、106万円以上の給与収入があると、
労働時間などのその他の要件を満たした場合、
社会保険に加入することになり、手取りが減ってしまいます。
ただ、この『壁』が撤廃されてしまうと、
少額な給与収入の方も社会保険に加入しなければなりません。
上記の①と同様に、
給与収入が少ない方の『盾』となっていたように思えます。
これを『壁』としてしまったために、
撤廃しやすい環境となったのでしょう。
働く方にとっては、
年収を気にしなくてよくなるとか、
将来の年金が増えるとかのメリットが言われていますが、
撤廃したことにより、
本来の議論であった「手取り」は減ります。
週の労働時間が20時間以上という加入要件は残りますが、
毎週平均20時間働く方は、
時給1000円程度で年収106万円です。
つまり、社会保険に加入したくない場合は、
週20時間以上働けなくなり、
最低賃金並みの時給の方は、
結果として年収106万円程度です。
106万円の壁の撤廃の後、
手取りを増やしたい場合は、
社会保険の加入が条件のようなものなので、
少なくとも社会保険料の個人負担額を上回る給与分、
働く時間を増やす必要があります。
もし、106万円の要件を撤廃するのではなく、
金額を引き上げるような改正がされた場合は、
加入者が減り、社会保険料の収入が減るなどの問題があるものの、
みなさんの働く時間と手取りが増えるのではないかと思います。
国の問題からの観点で見るか、
私たちの生活からの観点で見るかによって、
103万円や106万円は、
『壁』なのか『盾』なのか、
認識は変わるかもしれません。
103万円や106万円は、
みなさんにとって撤廃すべき『壁』なのか、
守ってもらっている『盾』なのか、
実態を理解した上で考えてみてください。
SNSやニュース等に左右されることなく、
自分で本当の姿を見極めていくことが、
これからの時代、大切です。
長くなってしまいましたので、
重要な税制改正の内容は、
次回必ずお伝えします。
お楽しみに!
今年の節分は2月2日でした。
節分は季節の変わり目という意味があるそうですが、
少しずつ春が近づいているのでしょうか。
さて、昨年12月20日に、
「令和7年度税制改正大綱」が決定されました。
今回の税制改正は、
「103万円の壁」をめぐり、
ニュース等でよく取り上げられていました。
ニュース等では、
103万円を『壁』と否定的に捉えて、
一般の方も批判的なコメントが多く見受けられました。
さて、みなさん、
103万円の壁って何か、
しっかりと理解できていますか?
テレビのニュースにおける説明もいくつか見ましたが、
特に初期のころは、
テレビで説明する方も、
よくわかっていないような感じを受けました。
税務上、103万円という数字はいろいろなところで登場しますが、
対象者が次の誰なのかによって、
考え方が違ってきます。
①給与所得者本人
②給与所得者の配偶者
③給与所得者の子供などの扶養親族
まず、②の配偶者について考えてみましょう。
「配偶者控除」で38万円を受けられる要件は、
配偶者の給与収入103万円以下ですが、
「配偶者特別控除」において、
配偶者の給与収入150万円までであれは、
同額の38万円の控除がうけられます。
つまり、配偶者にとって、
103万円の壁は存在していないようなものです。
次に③の扶養親族はどうでしょうか。
こちらも、「扶養控除」が適用されるためには、
扶養親族の給与収入が103万円以下であることが条件です。
103万円を超えると、
確かに扶養控除が適用されなくなるので、
『壁』と言ってもよいかもしれません。
最後に①の給与所得者本人です。
給与収入が103万円を超えると所得税が発生します。
とはいえ、
この『壁』がベルリンの壁のようになくなってしまうと、
給与収入が少額でも所得税が発生してしまいます。
給与所得者本人にとっては、
ある意味、103万円は『壁』ではなく、
『盾』となって、
給与収入が少ない方を守ってくれているといえないでしょうか。
『盾』だからこそ、
政治家の方も、
金額を引き上げ、盾を大きくして
より多くの人を守ろうとしているのだと思います。
つまり、
103万円が『壁』であるのは、
給与所得者の扶養親族だけです。
具体的な例としては、
扶養に入れているお子さんのアルバイト代において、
103万円の『壁』が存在しています。
①②③をひとまとめにして、
『壁』と否定的に呼んでしまった代償が、
社会保険の『106万円の壁』でしょうか。
「106万円」も同じように『壁』と呼ばれ、
「103万円の壁」と同列で否定的に取り扱われたため、
撤廃される見込みとなっています。
確かに、106万円以上の給与収入があると、
労働時間などのその他の要件を満たした場合、
社会保険に加入することになり、手取りが減ってしまいます。
ただ、この『壁』が撤廃されてしまうと、
少額な給与収入の方も社会保険に加入しなければなりません。
上記の①と同様に、
給与収入が少ない方の『盾』となっていたように思えます。
これを『壁』としてしまったために、
撤廃しやすい環境となったのでしょう。
働く方にとっては、
年収を気にしなくてよくなるとか、
将来の年金が増えるとかのメリットが言われていますが、
撤廃したことにより、
本来の議論であった「手取り」は減ります。
週の労働時間が20時間以上という加入要件は残りますが、
毎週平均20時間働く方は、
時給1000円程度で年収106万円です。
つまり、社会保険に加入したくない場合は、
週20時間以上働けなくなり、
最低賃金並みの時給の方は、
結果として年収106万円程度です。
106万円の壁の撤廃の後、
手取りを増やしたい場合は、
社会保険の加入が条件のようなものなので、
少なくとも社会保険料の個人負担額を上回る給与分、
働く時間を増やす必要があります。
もし、106万円の要件を撤廃するのではなく、
金額を引き上げるような改正がされた場合は、
加入者が減り、社会保険料の収入が減るなどの問題があるものの、
みなさんの働く時間と手取りが増えるのではないかと思います。
国の問題からの観点で見るか、
私たちの生活からの観点で見るかによって、
103万円や106万円は、
『壁』なのか『盾』なのか、
認識は変わるかもしれません。
103万円や106万円は、
みなさんにとって撤廃すべき『壁』なのか、
守ってもらっている『盾』なのか、
実態を理解した上で考えてみてください。
SNSやニュース等に左右されることなく、
自分で本当の姿を見極めていくことが、
これからの時代、大切です。
長くなってしまいましたので、
重要な税制改正の内容は、
次回必ずお伝えします。
お楽しみに!
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